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チンクエチェントの物語 第4回
社会が認めたジャコーザ氏の視点 掲載日:2003年3月25日 販売不振の原因をみる前に、もう少しチンクエチェントをみてみましょう。 フィアット・チンクエチェントは、プレス加工による鋼鉄薄板のボディー構造で出来ています。 ダンテ・ジャコーザ技師は細心の注意を払って、この重要な車体部分の構築に自ら取り組みました。 彼のプロジェクト実現にあたっての基本的な考え方がそこに認められます。 ジャコーザ技師によるプロジェクトの独自性を知る人にとっては、トポリーノとセイチェントの構造に、すでに、彼独特の2点の特徴が現われているのがわかります。 ひとつは、ドアから乗車する時に非常に乗り込み易いことであり、もうひとつは、素材である鋼鉄薄板の使用が最小限にまで削減されていることです。 チンクエチェントに匹敵する小型車で、オリジナルのチンクエチェントよりも鋼鉄薄板の使用面積が少ない車は他に見当らないでしょう。 この点においては、いかに優秀なエンジニアであっても、ジャコーザ技師のプロジェクトに優るものを実現することは不可能であると考えます。 車体の構築にあたって、素材を最小限に切り詰めようとしたジャコーザ技師の取り組みの原点は、以前も書きましたが、彼が幼少の頃から受けた節制を基調とした厳格な教育から来ていることは間違いありません。 彼は小さい時から、あらゆるものを切り詰め、いかなる物であっても決して無駄に捨てないように躾けられて、そのことの本質が身についていたのですね。 フィアット社のエンジニアとなり、自動車設計プロジェクトに関わるようになって、ジャコーザ氏の持ち前の質素で倹約精神に満ちた性向は、当時の自動車産業界が必要としていた軽量化の方針と見事に一致したわけです。 それは、その時代の労働者の人件費は取るに足らないもので、一台の自動車の販売価格は、使用された鋼鉄材の重量に比例していたからです。 生産コストと機能性の側面から見れば、チンクエチェントは“真の最高傑作”であると言えます。 1960年代になると、チンクエチェントの合理性に適った美しさがデザイナーたちの称賛の的となり、イタリアにおける産業デザイン部門の最高の名誉である《コンパッソ・ドーロ(金のコンパス)》賞受賞の誉れに輝いています。 余談になりますが『チンクエチェント博物館』の展示で昨年お世話になったジョルジェット・ジウジアーロ氏は、パンダをデザインした功績で、1980年にこの名誉ある賞を受けています。 ちなみに、ジウジアーロ氏のその才能を発掘したのは、彼が通っていた美術学校の発表会会場に飾られた彼の作品を偶然目にとめたジャコーザ氏だったそうです。 その後、ジャコーザ氏の誘いで10代のジウジアーロ氏は、フィアットの見習いスタイリストになりました。 二人の天才の不思議な縁を感じます。 以下次回に続きます。 |
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| FIAT600とFIAT500。どちらにもジャコーザ氏の独自の視点が生かされています。今みても愛らしいですね。 | 鉄板を削ったお陰で(?)でこんなに素敵なルーフを持つことが出来たんでしょうか。交通事情が今と違うとはいえ、素敵なセンスですよね。 |
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| 昨年開催した“ジウジアーロとパンダ展”では、最初期型『パンダ30』を展示し、みなさんに直接触れていただきました。 | 大好評のうちに終えることが出来た同展。大勢のみなさんに来ていただきました(ジウジアーロ氏からお借りしたモックアップを囲んで)。 |